前回からの「組み立ってキット編」の続きで、「クローン Prusa i3 MK3S」と「Original Prusa i3 MK3S」との印刷品質の比較や、クローン版でPETGを印刷する方法などを見ていこうと思います。
私がAliExpressで購入したのは、下記のクローン Prusa i3 MK3Sになります。
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クローン版よりお値段は上がりますが、公式サイトでOriginal版も購入可能です。
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プラスチックパーツは、以下で販売しております。AliExpressで購入するよりも品質も良くお安いです。
もちろん、公式と同じプリンターと設定で印刷しています。
Prusa i3 MK3S プリントパーツ セットの新品・未使用品・中古品|PayPayフリマ (yahoo.co.jp)
Prusa i3 MK3S プリントパーツ セットの中古/未使用品を探そう! – メルカリ (mercari.com)
Prusa i3 MK3S プリントパーツ セットの通販 1点 | フリマアプリ ラクマ (fril.jp)
前回、ほとんど違いが無いと記載しましたが、一部公式と異なる部分がりましたので(オイッ)ご紹介します。
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一つ目は、ホットエンドになります。
大きな違いは、公式のホットエンドにはテフロンチューブが挿入されていますが、クローン版は特に テフロンチューブはありません。これが性能にどう変化が付くのがわかりませんが、違いの一つです。
そもそもクローンの方のホットエンドにはめ込まれている黒いプラスチックが、公式のより狭いため、公式のナイロンチューブを入れることはできませんでした。
※AliExpressで探すと、公式と同じサイズの黒いプラスチック部分がセットになったホットエンドも購入できます。
あと、ケーブルの色とかも違いますが、この辺りはあまり影響がないと思います。
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2つ目の違いは、ビルドプラットフォームになります。
クローン版は、薄い金属板らしく別途3Mのプラットフォームシールを張って利用します。
ちなみに下記は、公式のプラットフォームになります。(現在は、3種類が販売されています。)
ちなみに、公式のプラスチックパーツは、パウダーコートタイプのビルドプレートで印刷しており、表面が独特のエンボス模様になります。
上記でご紹介したフリマサイトで販売しているプラスチックパーツも公式と同じパウダーコートのビルドプレートで印刷をしています。
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厚さを比べるとクローンの方が薄いです。これに3Mのビルドプラットフォームシートを張り付けて利用します。
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注意深く張らないと気泡が入って印刷品質に影響するので慎重に行います。
このビルドプラットフォームは、流石に公式の方が良さそうです。
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次は印刷性能を比較してみようと思います。
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・印刷品質の比較
3Dプリンター界ではおなじみのボートで比較してみようと思います。
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https://www.thingiverse.com/thing:763622
このボートには、色々な要素が含まれているらしく、3Dプリンターのベンチマーク的に利用されています。
印刷設定は、レイヤー厚:0.3mm・インフィル:15%・フィラメント:PLAで、スライサーはPrusaSlicerです。それ以外の設定は、デフォルトになります。
使用するフィラメントは、Amazonで1kg 2000円程で購入した物になります。
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つまずくことなく問題なく印刷が出来ています。
待つこと1時間弱。無事、印刷が完了しました。
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以前、Original Prusa MK3Sで印刷したものとの比較になります。
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おぉぉ。全体を見ても印刷品質はOriginal Prusa i3 MK3Sと同等な気がします。
引き続きOriginal Prusa i3 MK3Sとの比較を行っていきたいと思いますが、結論、クローン版で十分ってことがわかりました。
・アップトランスを使用してのPETG印刷
クローンで1点だけ気になる点は、付属の電源が日本の100Vだと問題が発生する可能性があります。
2023年3月追記
後日、クローン用の電源を個別で購入したら、高出力の電源になっていました。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
PETGなどのヒートベッドやノズルを高温して印刷するフィラメントだと、電源に負荷がかかり、印刷中に電源が落ちることがあります。(PLAであれば問題はありません。)
公式のOriginal Prusaも以前は同じ問題を抱えていましたが、現在は対応済みの黒い電源に交換されています。
※電源の固定差もありそうなので、必ずしも問題が発生するわけではなさそうです。
ただ、安心してPETGを印刷を印刷したいのでアップトランスを利用してこの問題を改善しようと思います。
用意したのは、Amazonなどで4000円程で購入可能な以下のアップトランスになります。
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DT-500VAの商品説明にもありますが、連続で使用する場合は、使用電力を250VA以下にすることと、記載がありますので、クローンPruasで利用する場合は、500w以上のアップトランスを用意することをオススメします。
で、早速、 アップトランスと接続する前に忘れずにクローンPrusaの原電を220Vに切り替えます。
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220Vに切り替えたら、アップトランスの220Vと記載のあるコンセントの方に電源を接続します。
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次は、今回テストで印刷するモデルです。
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準備ができたら、通常通り印刷をします。
今回、用意したサンプルをPETGで印刷します。印刷時間は約3時間ほどになります。
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併せて消費電力も測定してみました。
印刷開始直後の一番負荷がかかる時(ノズルとヒートベッドを240度・85度に加熱)で瞬間的に280Wほどになりました。(電源出力の最大が240Wなので、ちょっとオーバーしています。)
実際に印刷が開始されると、大体100W前後で落ち着きます。(環境などによるのでご参考までに)
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問題なくPETGでの印刷が完了しました。(印刷時の温度は、ノズルが240度・ヒートベッドが90度です。)
また、同じくPETGで8時間と12時間でそれぞれ連続印刷を行いましたが、こちらも問題なく印刷することができました。
アップトランスを利用すれば、PETGなどのフィラメントも問題なく印刷できるので、コストパフォーマンスを考えるとクローンの方に軍配が上がると思います。
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Clone Prusa i3 MK3S+ Printer Full Kit Upgrade 3D Printer Prusa i3 MK3 To MK3S 3D Printer Kit DIY
・その他
後日、クローン Prusa i3 MK3Sの方で連続(計8時間位?)で印刷をしていたら、以下のエラーが発生していました。
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印刷自体は終わっていましたが、印刷途中でヒートベッドの温度が上がらなくなった可能性があります。(放っておいたので詳細はわからず。。。)
印刷後にホットエンドとビルドプレートの温度が一定以下になると表示されるエラーでした。冬の寒いときにOriginal Prusaでも発生しました。
→ドライヤーなどで温めてあげると解決します。
あれからいくつか印刷しましたが印刷品質に関しては、公式と同等程度と思われます。
追記
Original PrusaとクローンPrusaをそれぞれ十数時間は使用しましたが、Originalよりクローンが優れている部分がありました。
Original Prusaに付属するエクストールダーを冷却するファンが静穏仕様のため風量が小さいらしく、PETチューブが挿入されているので、フィラメントがノズルより手前で溶けてしまい、PETチューブ内部で引っ掛かってしまうフィラメント詰まりがたまに起こります。
使用するフィラメントの温度設定なども問題がありそうです。
その点、クローンPrusaは風量が大きいらしく、フィラメント詰まりが起こりずらい?
ファンを交換しようかと思案中です。