みかんパートナーズ

レーザー加工機用のコンパクトな集塵機(+消臭)を自作してみる

先日、クラウドファンディングで購入した「xTool M1」が届いたので、早速MDF板にレーザー彫刻をしてみました。

換気の悪い部屋で使用しているのも原因の一つですが、加工時に発生する煙と臭いでちょっとした火事かなと思うくらい大変なことになりました。

この加工時の煙と匂いが原因でせっかくのレーザー加工機を積極的に使用と思わなくなってしまいました。。(煙に含まれている物質とかも体に悪そうですし。。。)

で、こうした問題を解決するためにレーザー加工機専用の集塵機(煙と臭いを吸い取って奇麗にする機械)が、純正を含めて各社から発売しております。

しかし、安いものでも価格が10万円近くもし集塵機で使用する専用のフィルターも消耗品で交換するだけでも数万円かかってしまいます。。それに集塵機自体が大きく設置場所にも困ります。

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xTool M1についても専用のものが販売されています。

ちょっとした趣味で使用するレベルでこの金額を出すのは中々厳しいと思う方も多いと思います。

集塵機を使わずに直接、窓から外に直接排出すること考えましたが、さすがに近所迷惑になるレベルですので、この案も難しいと思い、頭を悩ましていました。

それなら作っちゃえばいいじゃん!と思ったのが今回の記事になります。

※今回自作する集塵機は、外に排出しても近所迷惑にならない程度に浄化できることを目的にします。

ってことで各社の集塵機を調べると、レーザー加工機から発生する排気をファンで吸引し、下記の3種類のフィルターを通して空気を浄化していることがわかります。

1層目が、大きなホコリやゴミなどキャッチする目の粗いフィルター
2層目が、微粒子などの有害物質をキャッチするHEPAフィルター
3層目が、臭いなどをキャッチする消臭用の活性炭フィルター

つまり、家庭用の空気清浄機と原理は同じです。(もちろんより特殊なフィルターや特殊な装置なども使っているものもあると思います。)

これであれば、家庭用の空気清浄機の交換用フィルターを使用して作れれば、フィルター交換時のコストも抑えられるかと思います。

で、手持ちの3Dプリンターで作成できるサイズで、市販品でちょうど良い大きさの交換用フィルターを探したところ、ちょうどよさそうな「Levoit 空気清浄機 交換用フィルター」ものを見つけたので、これをベースに考えていこうと思います。

LV-H128‐RF

1箱に2個入っていて、1つのカートリッジで、上記3種類のフィルターが内蔵されている一体型になります。

フィルターカートリッジのサイズは、16.6 x 11.5 x 3 cm(公式値)になります。

ただ、専用の集塵機に内蔵されているフィルターは、サイズも大きく浄化できる容量も大きいのですが、今回採用するフィルターは小型のため、フィルターを複数使用して浄化できる容量をアップする作戦です。

また、フィルターは上記で確定なのですが、いかんせん内蔵されている消臭用の活性炭フィルター(上記写真左側)が薄くてスカスカなので、複数重ねても消臭効果は期待できなさそうです。

この部分を解決するために後述する専用の活性炭フィルターカートリッジも併せて作成しようと思います。

ってことで、まずは集塵機ケースをCADで設計していきます。

集塵機の全体像

左側の黄色いパーツは吸気ダクトで、レーザー加工機からの排気ダクトホースを接続します。

上部のカバーを外したところ

イメージ図の赤い部品は、排気用の120mmのファンを取り付けることを想定しています。

吸気ファンを増設

また、吸気ダクトを取り外し可能にして、排気ファンだけでは風力不足の場合は、吸気ダクト側にも吸気用の120mmファンと取り付けられるようにしています。

フィルター搭載イメージ

ちなみにフィルターのカートリッジを最大7個搭載できるようにしていますが、さすがに7個も搭載すると、空気の通りが悪くなるので、せいぜい4個程度にするか、吸排気のファン能力を高める必要がありそうです。

で、吸気ファンについては、Amazonで家庭用コンセントに直接接続できる強力な120mmファンを見つけたのでこちらを使用します。

購入した吸気ファン

ダイアルが付いていて、ファンの回転数を変更できます。ファンの回転数は、最大4500rpmと強力です。(強力な反面、音も強力です。。)

で、必要な部品は全てそろったので、3Dプリンターでセッセと残りのプリントパーツを印刷していきます。

このパーツだけでも、印刷に丸1日かかりました。

印刷したパーツ類など

何とか印刷が完了しました。(全パーツの印刷時間はトータルで2日ほどかかりました。。。)

ちなみに、写真右側の黒いパーツは、個々のパーツを組み合わせるときに隙間が出来ないようにTPUフィラメントでパッキンを作りました。

接合部にTPUで印刷したパッキンを装着

パッキンを取り付けたところ。

あとは、それぞれのパーツをボルトで組み立てるだけで、10分くらいで完了します。

吸気ダクト側
排気ファン側

ぉぉぉ!。まだ、本体内部にフィルターを取り付けていない状態ですが、無事完成しました!

完成したところでまずは、フィルターを取り付けていない状態でのファンの風速を測定します。(吸引力の測定方法が分からないので、手持ちの風速計で測定します。)

フィルターなしの状態で風力を測定

結果、吸気ファンを最大にしての風力は、9.6m/s~10.0m/sほどになりました。

吸引力としてみた場合に強いのか弱いのかはわかりませんが、集塵機としては、どうやら強い部類に入りそうです。

次に消臭効果を高めるために専用の活性炭カートリッジを作成します。

活性炭カートリッジ
印刷した活性炭カートリッジ

このカートリッジに活性炭を詰め込んで消臭効果をアップさせます。

消臭効果を高めるために活性炭自体も専用の「レーザー加工機排気専用活性炭」を使用します。

この活性炭は、特にアクリル樹脂などに効果が高いようです。

また、詰め替え可能なカートリッジにしたので、活性炭が古くなっても中身を入れ替えるだけでカートリッジ自体は再利用可能にしました。

■レーザー加工時発生の「体に良いわけない いや-な化学臭、有害ガス成分」を強力に吸着除去! ■商品:レーザー加工機排気脱臭専用活性炭 『 RKOH01 』 ■仕様:1)粒度:4mmφペレットと破砕状(4~8mesh)の一定割合混合 2)見掛け比重:0.45~0.50kg/L 3)粒度:4~8mesh×95%以上 4)硬度:95%以上 5)乾燥減量:10%以下 6)平衡吸着性能:ベンゼン30%(重量比)以上  * 2)~6)の値はJIS K 1474に規定されている分析方法 ■内容量:30リットル 包装:ポリ袋詰め+3層紙袋+紙箱( 詳しい説明書添付)
レーザー加工時発生の嫌な化学臭 体に良い訳ないし、社員が嫌がり近所迷惑! - 
到着したレーザー加工機専用の活性炭

購入した専用の活性炭 RKOH01をカートリッジに詰められるだけ、詰めます。

活性炭自体は1.2kg程詰め込むことが出来ました。

さてさて専用の活性炭の効果のほどはどうなんでしょうか。

・テスト

今回は、消臭効果を最大にしたいので吸気側にLV-H128‐RFフィルターカートリッジを2個+排気側に活性炭カートリッジで挑戦してみます。

カートリッジを取り付けたらカバーを取り付けて、レーザー加工機とダクトで接続します。

レーザー加工機側
集塵機側

実際に取り付けての効果測定になります。

素材の加工時間が長ければ長いほど空気中の煙や匂いが増してきますので、利用状況の大きく変わってくるかと思います。

正確な測定器を持っていないので、感覚での評価になっております。。

集塵機なしでMDFをカット結果

切断中に発生する花火のような臭いと煙が部屋中に蔓延して、加工が終わった後も換気が良くない部屋だと煙が残り数時間後でも臭いが残る感じです。

特に使用頻度が多いと部屋の壁紙も変色したり匂いが写ったりするかと思います。

言い表すなら、花火を部屋の中でやっている感覚で、正直使用には耐えられないレベルです。

集塵機を取り付けてMDFをカット結果

加工時間が短ければ確かに煙や匂いを除去できていますが、少し匂いが残ります。

加工時が長くなるとフィルターで取り切れない煙や匂いが部屋に溜まってきて効果が薄くなってきます。

・考察と改善

テストしてなんとなく課題らしきものも見えてきました。(多分ですが。。。)

加工時間が短ければ確かに煙や匂いを除去することが出来るのですが、加工時間が長くなるとフィルターを通過するときに取り切れない匂いなどが部屋に溜まってきてしまいます。

本体が小さい分、汚れた空気がフィルターを通った時にすべてが除去できないため、外に排出されてしまうためです。(なので市販の集塵機は本体が大きいのただ思われます。)

なるべく汚れた空気が集塵機内部に留まってくれれば改善されると思われます。

→吸気ファンを弱くしてなるべくフィルターに滞留するようにする?
→カーボンフィルターの前後にしかメッシュが無いため空気の流れが悪くなってしまうため少しでも良くする

活性炭を入れるカーボンカートリッジの側面と蓋部分にもメッシュ加工を施して汚れた空気がより活性炭に触れるよう改善。

・テスト2回目

もし、集塵効果がそれなりに期待できるようであれば、フリマサイトなどで販売できればと思っています。

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